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食物アレルギー表示はこうなっている

4.表示方法は2通り ~個別表示と一括表示

特定原材料、どのくらい入っていると表示するの?

アレルギー物質の感受性は人によって違い、複数のアレルギーがある人のそれぞれのアレルギー物質への感受性も同一ではありません。

なめる程度でもアナフィラキシー症状が誘発されるなど、ごく微量のアレルギー物質によって症状が出ることもあります。

このことから、特定原材料を使っている加工食品は、原則として、含有量にかかわらず表示をすることになっています。
 
ただ、その食品に含まれる総たんぱく質量が数μg/mlまたは数μg/mg※以下であれば表示の必要性はないと定められました。

※1mgは1gの1000分の1、1μgはさらにその1000分の1でppm(=100万分の1)とも表す。

個別か一括か、省略規定のこと

表1は、あるコロッケの原材料です。

<表1>

原材料名 ばれいしょ、パン粉、なたね油、牛肉、たまねぎ、砂糖、小麦粉、みりん、しょう油、粒状植物性たんぱく、マーガリン、コーンスターチ、脱脂粉乳、牛脂、食塩、粉末状植物性たんぱく、卵白、白こしょう

ばれいしょ(ジャガイモ)やたまねぎ、牛肉などの農産物のほか、調味料や油脂、風味や食感、保存性などを高めるためのさまざまな食品添加物なども使われていますね。

アレルギー表示はそれぞれの原材料の直後に表2のように(●●を含む)と表示するのが原則です。また、食品添加物の場合は(△△由来)と表示します。そして、複数の特定原材料等が含まれている場合は「・」でつなぎます。

これを個別表示といいます。

<表2 ミートコロッケの原材料名欄(個別表示の場合)>

原材料名 ばれいしょ、パン粉(小麦・大豆を含む)、なたね油、牛肉、たまねぎ、砂糖、小麦粉、みりん、しょう油(大豆・小麦を含む)、粒状植物性たんぱく(大豆・小麦を含む)、マーガリン(大豆を含む)、コーンスターチ、脱脂粉乳、牛脂、食塩、粉末状植物性たんぱく(大豆を含む)、卵白(卵を含む)、白こしょう(小麦を含む)

同じアレルギー物質が何度も出てきて、表示は複雑です。

そこで、同じアレルギー物質が何度も出てくるときには、2度目以降を省略してもいいことになっています。

これを省略規定といいます。

<表3 ミートコロッケの原材料名欄(個別表示に省略規定を適用した場合)>

原材料名 ばれいしょ、パン粉(小麦、大豆を含む)、なたね油、牛肉、たまねぎ、砂糖、小麦粉、みりん、しょう油、粒状植物性たんぱく、マーガリン、コーンスターチ、脱脂粉乳、牛脂、食塩、粉末状植物性たんぱく、卵白(卵を含む)、白こしょう

また、表示スペースの都合などでやむを得ない場合は、下の表4のように、すべての原材料を示した後に、アレルギー物質をまとめて表示することが認められています。

これを一括表示といいます。

<表4 ミートコロッケの原材料名欄(一括表示の場合)>

原材料名
(一部省略)
ばれいしょ、パン粉、なたね油、牛肉、たまねぎ、砂糖、小麦粉、みりん、しょう油、粒状植物性たんぱく、マーガリン、植物油脂(なたね硬化)、コーンスターチ、脱脂粉乳、牛脂、食塩、粉末状植物性たんぱく、卵白、白こしょう、(一部に小麦・乳成分・卵・大豆・牛肉を含む)

一括表示は表示スペースが少なくてすみ、アレルギー物質をまとめて把握しやすいといえます。

ただ、たとえば幕の内弁当のように、いろいろな食べ物がいっしょに入っているなかから、自分にとっては大丈夫なものを選り分けて食べたいと考える人には向かない表示です。そのような理由から「個別表示が原則」となっています。

監修:食品表示活用研究会 会長 食品表示アドバイザー 天明英之
(食品表示活用研究会とは一般社団法人食品表示検定協会が実施する食品表示検定試験・上級に合格した上級食品表示診断士の有志により自主的に運営されている団体です)